2010_04
03
(Sat)09:30

悲しいサクラ

さくら

「来年の桜は無理かもしれないね。」

話は一昨年の秋、夏のレジャー仲間でもあるT氏が入院する病院に勤務する
知人がお見舞いで病院に集まった仲間に向かって言った。

T氏はその年の春より胃に違和感があったのだが事情で自営を廃業し
知人の紹介で、とある会社に臨時採用され正社員になれるかどうかの
瀬戸際で仕事を休んで病院に行ける状態ではなかった。

ある日とうとう我慢できなくなって近所の町医者で診察。
「なんでこんなになるまで病院に来なかったんだね?」と言われ
そのまま市民病院にて精密検査を受ける事になった結果下された診断は・・・

末期の胃癌で余命半年

既に両親が他界し独り身だった彼にはその日の内に宣告された。
もちろん本人は衝撃だっただろうが彼は見舞いに訪れる仲間に決して
暗い顔を見せなかったし いたって前向きに病気を受け止めていた。
しかし病状はみるみる悪化し短期入院の繰り返しから家に帰れなくなり
見舞いに行く度にやせ衰えていく彼を見るのはつらかった。

2月のある日、仲間の一人が彼を連れ出して花見をしようと言い出した。
既に彼は自力で歩く事もできない状態で後の話では一ヶ月持つかどうかだったらしい。
それが励みになったのか彼は当日まで持ち応えたのだ。

さすがに外出許可が下りず、病院の会議室を借りて枝桜を持ち込んでのささやかな
花見だったが彼の友人知人が40人以上集まったのだ。
「励ます会」と銘打っての花見会だがこれが事実上の「お別れ会」だということは
参加した人みんなが知っていた・・・・。

その花見会の2週間後、付き添いの叔母に看取られて彼は静かに逝った。
「話が出来るのは今日明日までかも知れないから」とのメールを友人から
受け取った僅か6時間後のことだった。



久しぶりに晴れた休日の土曜日。
愛犬の散歩をしながら近所の川べりの桜を見ていたら昨年の出来事を思い出した。
まだ彼が病院内を歩き回るほど元気があった頃、面会ロビーで彼はジュースを
飲みながら見舞いに訪れた私に明るく言った事。

「明日、いいクスリが出来るかも知れないから」


今年は花見をする気になれない。

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C.O.M.M.E.N.T

私も3年前

2度目の急性膵炎の時は非常に状態が悪く
通常10日ほどで退院出来るのが43日も
入院しました。

当初は本当に苦しくて生まれて初めて
死を覚悟しました。

2010/04/05 (Mon) 10:53 | りゅーでん #- | URL | 編集 | 返信

わたしが盲腸悪化させて、腹膜炎やったのも約20年前の春。
ちょっとやばかったです。

2010/04/04 (Sun) 21:53 | なかむら #LwtkaH2o | URL | 編集 | 返信

こんにちは。
三年前の春、私も悲しいサクラの記憶を作ってしまうところでした…
くじみたいなもん…て気がします。

2010/04/03 (Sat) 12:44 | とと #mQop/nM. | URL | 編集 | 返信

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